お問い合わせが多いワインディングマシーンについて。
その仕組み、消耗品などなどをご案内します。
ワインディングマシーンとは
本来ワインディングマシーンは、時計メーカー様や修理店様により、 時計の最終チェックのための検査機として使われていました。
自動巻き時計をチェックする為の検査機が、 その便利さから一般ユーザー様に普及していきました。
ただし、 その必要性やメリット・デメリット、 どのワインディングマシーンがお勧めか等、 いろんな情報がWEB上にUPされています。
その情報の中には実に根拠のない情報も多く、 間違った選択をしてしまう消費者も多いと思います。
そこで、ワインディングマシーンを実際に企画し、製作しているソウルバードがワインディングマシーンの必要性の有無、構造のポイント、ソウルバード製ワインディングマシーンの構造についてご案内させていただきます。
ワインディングマシーンのメリット・デメリット
[メリット]
お客様の中には、複数個の自動巻き時計を所有されている方も多くいらっしゃいます。その場合、数日使用しない時計は止まってしまうわけです。
ワインディングマシーンにセットしていれば 自動的に巻き上げてくれますので、使用する際にリューズで手巻きを行う必要がなく、リューズやそのパッキンの劣化を少なくすることができます。
そして何よりも便利です。
[デメリット]
ワインディングマシーンには磁力を発生するモーターからの帯磁の可能性があります。
帯磁対策がとられていないワインディングマシーンをお使いになると時計に悪影響がございます。
また、使用されずに長期に保管された時計や状態が悪い時計をワインディングマシーンに装着することで、時計内部のパーツに負荷を与えてしまう場合があります。
ワインディングマシーンを選ぶ際のポイント
1:帯磁対策が行われているか?
2:漏電の際の保護回路が組み込まれているか?
3:時計への負荷が少ない巻き上げ方法で設計されているか?
4:左巻き上げ、右巻き上げが可能か?
5:パーツ交換やメンテが可能な製品か?
この5つのポイントがクリアされていれば、お値段が高くても安くても、どんなワインディングマシーンを使用されても問題はないと思います。
逆に、この5点がクリアされていないワインディングマシーンは、使用することで大きなリスクが発生する可能性がある、と私たちは考えます。
次に、その5つのポイントについて詳細にご案内します。
5つのポイントとソウルバード製ワインディングマシーンの構造もご案内します。
1:帯磁対策が行われているか?
ワインディングにはモーターが使用されています。
モーターと装着する時計の距離を十分にとることで、 帯磁対策が可能です 。
〔 コンパクトなワインディングマシーン〕 = 〔 モーターと時計の距離が近い〕と いうことになります。
ソウルバード製ワインディングマシーンは以下のように設計されています。
時計とモーターの距離= 約130〜105 mm(モーターが25 mm 厚のため数字に幅があります)
帯磁対策のためのはこの距離が重要となります。
2:漏電の際、保護回路が用意されているか?
感電、火災、電力の損失による漏電対策は不可欠です。
この点がクリアされていない場合、万一の漏電により 時計に損傷を与える可能性があります。
ソウルバード製ワインディングマシーンでは基盤回路により漏電対策を行っています。
3:時計への負荷が少なく設計されているか?
実はワインディングマシーンを安価に製作する方法がございます。
モーターギアの軸の回転と時計の回転を一致させる設計方法です。
といっても
わかりづらいですね〜。
「文字盤の針の根元が文字盤のほぼ中心にある時計の場合は、その針の根元を中心に回転するワインディングマシーン」
と説明したほうがわかりやすいでしょうか。
これは最も安価で簡単な設計方法なのですが、スケートのスピンをずっと繰りかえす事と同じ動作になります。
遠心力で油が外に外に振り回わされることが簡単に想像できます。
実際に腕に装着する事で巻き上げが可能な時計にこの動作は必要がなく、時計に不要な負荷ばかりがかかると思われます。
ソウルバード製ワインディングマシーンでは、 時計の針の根元を中心に回転させるのではなく、 時計本体をゆっくりと回転させ、 回転角度を45度前後にキープする事で、 時計の中で油が循環する回転を実現しています。
そのため、ゆっくりゆっくりとした巻き上げ速度でも、 時計に負荷をかけずに巻き上げができるのです。
4:「左巻き上げ」「右巻き上げ」が可能か? 回転方向です。
時計メーカー様により、巻き上げ回転方法が限定されている時計があります。
この回転方向が合わなければ、巻き上げはできません。
そのため、左右交互の回転を行うことで全ての時計の巻き上げが可能となります。
ソウルバード製ワインディングマシーンは、 左右方向の 回転に加え、
回転速度のセット、回転継続時間のセットを ユーザー様ご自身で 行えるように設計されています。
5:パーツ交換やメンテが行える製品か?
ワインディングマシーンには数点の消耗パーツが使用されています。
この消耗パーツの交換を行うことで、 継続的にご利用が可能です。
この消耗パーツが交換できないワインディングマシーンは、 長期使用を目的としていない「使い捨て製品」という事になります。
ではその消耗品を、 ソウルバード製ワインディングマシーンをもとに具体的にご案内します。
「ワインディングマシンは壊れる?」
ワインディングマシーンについて、 もっとも多いお問い合わせは
「何度買い換えても1〜2年で壊れるんですけど、そんなもんですか?」
です。
わかりやすい答えとしては、
「壊れるワインディングマシーンを選んでしまっているから」
という事だと思います。
具体的には、
次のような商品案内がかかれたワインディングマシーンをご覧になったことがありませんか?
「信頼の日本製●●チモーターを使っているので耐久性があります!」
???????
それには疑問があります。
なぜなら、壊れるのはモーターではないからです。
今時、数百円の子供用のおもちゃ用モーターでもなかなか壊れません。
大切なポイントは、
そのモーターの回転速度を制御する「ギア」なのです。
このギアが摩耗することで「消耗(故障)」が発生するのです。
しかし、
WEB上で大量に販売されているワインディングマシーンの商品説明に
そんな事は一切かかれていません。
なぜか?
それは
「本当の構造を知らないから」だと思います。
大切なポイントはモーターではなく「ギア」なのです。
この「ギアの摩耗」=「故障」ととらえるユーザー様がの多いのです。
本当は「ギア」にもオイル交換が必要です。
自動車のエンジンオイルやギアオイルを交換せずに、 車に乗っている方はいないと思います。
そんな事したら壊れてしまいます。
当たり前ですよね。
しかし、
「ワインディングマシーンのオイル交換」って、聞いたことがありますか?
初耳ですよね。
当たり前のことなのですが、「ギア」を装着している、 全てのワインディングマシーンには「オイル交換」が必要なのです。
これさえ行えばワインディングマシーンは健康です。
ただし、市販で販売されるワインディングマシーンのほとんどは、 このメンテナンスができないものとなっています。
いわゆる「おもちゃ」という事です。
このようなワインディングマシーンをお使いのお客様が
「何度買い換えても1〜2年で壊れるんですけど….」
と 疑問に思われているのかもしれません。
それは、 「壊れる」というよりも
「消耗品を交換できない(壊れても修理できないワインディングマシーン) を選択している」
といったほうが正しいかもしれません。
構造に興味がある方で、もし壊れてしまったワインディングマシーンが手元に残っていたら、分解してみたらわかりやすいです。
小学生の夏休みの工作宿題のようなパーツが大量に使われていてびっくりされると思います。
(分解には事故のリスクがありますので、くれぐれも自己責任でお願いします)
ソウルバード製ワインディングマシーンについては、 このオイル交換(メンテ)が出来るように設計しています。
といってもギアを分解し、清掃し、オイルを入れて再組み上げする手間を考えた場合、 新品のギアに交換したほうが、安上がりです。
そのためソウルバードでは、
「オイル交換」=「ギア交換」を行うメンテを行なっているわけです。
参考までにギア交換のタイミングと費用をご案内します。
ソウルバード製のワインディングマシーンに限っては
平均的にギア部分の耐久年数が5〜7年です。
その交換費用は、
工賃・パーツ込みで、1台税別¥12,600(2020年時点)となっていまして
池袋に ワインディングマシーン が到着後、
すぐに作業に入りますので1-3日へ再納品となります。
全てのメンテも、 外注ではなく ソウルバードで全て行なっていますので 短期間で納品ができています。
このギア部分を交換することで継続的にお使いいただけます。
つまり「ギア」を交換すれば、 「ケース本体が壊れるまで、
永らくお使いいただける 」
という事です。
おそらく数十年お使いいただいても問題ないと思います。
参考までの使用開始から2回ギアを交換されたお客様のブログをリンクしておきます。
https://soulbird.co.jp/maintenance-windingmachine/
ソウルバードではその他、こんなことも考慮して設計しました。
↓
・電源周波数に関係なく世界中どこでも使える事
・ワインディングマシーンが美しい事
・ワインディングマシーン本体が消耗品でない事
・メンテが簡単な事
・メンテの際に簡単に送付できるサイズに収める事
・数十年単位で使用できる耐久性、等々です。
メンテができるワインディングマシーンメーカー
それではメンテが行えるワインディングマシーンメーカーは、どれほどあるのでしょうか。
私達が知る限り、 世界中に「メーカー3社」程しかありません。
実はそんなに少ないのです。
WEBでは多くの種類のワインディングマシーンが 販売されています。
しかし、その中には メンテができる「メーカー3社」の製品はほとんど販売されていません。
(オーストリアの●●社など)
最後にもう一度。
しつこいようですが
ワインディングマシーンを選ぶ際に「必要な 5つのチェックポイント」 を再度ご案内します。
1:帯磁対策が行われているか?
2:漏電の際ほ保護回路が用意されているか?
3:時計への負荷が少なく設計されているか?
4:左巻き上げ、右巻き上げが可能か?
5:パーツ交換やメンテが可能な製品か?
今回ご案内した内容については、 あくまでソウルバード製ワインディングマシーンを 製作する立場から知り得た知識を元に記載しています。
全ての方にとって、 必ずしも必要な情報ではないかもしれませんが 少しでも皆さまの参考になればと思います。
ありがとうございます。
*ソウルバードでは、他社様のワインディングマシーンについての 構造・パーツの評価・修理・メンテは行なっていません。
各メーカー様にお問い合わせください。