千葉県からご来店の I 様。
「ドレスウォッチ1本を平置で収納できる時計ケース」をお探しのとのこと。
特にアンティークの時計の場合、収納される時計に見合った時計ケースを探すのは至難の技です。
さてさてどんなご提案ができるか…
ガンガン使っていくようなケース
ご来店誠にありがとうございま〜す。
早速ご希望をお聞きすると
「そうですね。
イメージ的は珍重させて楽しむケースというよりも、
ガンガン使っていくようなケースにしたいと思っていて。
伸ばして収納する本数は1本で、ツヤがある仕上げではなく、オイル仕上げで、
傷が入っても気にしないぐらいのお付き合いができるケースの方が楽しいかなと思って、
そんなものをイメージしてるんです。」
と結構具体的なご要望です。
ここまでご希望が明確だとご案内も的が絞れて大変助かります!!
使っていくうちにたんだんと経年変化が楽しめるオイル仕上ですが、
どんな樹種でもOK!! っという訳ではありません。
比較的お手頃な樹種ですとオーク材系ですね。
ベージュ系の色合いの樹種ですがオイル仕上げでもナチュラルな雰囲気に仕上がります。
引き出し付き オーク オイル仕上げ 高級時計ケース
また、日本でよくお目にかかるのは
The 「ウォールナット」ですね!!
家具屋さんでもよく素材として使われますが
日本の木材にはないモダンな雰囲気の
ダーク系の色合いは結構人気があります。
この「ウォールナット」は仕入れも比較的しやすく
加工もしやすく、大変重宝する樹種でもあります。
時計ケースとして完成するとこんな感じになります。
ブラックウォールナット材 高級時計ケースの受注製作
引き出し付きですと
引き出し付き ウォールナット材 時計ケース
この「ウォールナット」ですが
北米品種とヨーロッパ品種を接ぎ木した
「クロラウォールナット」と呼ばれる品種もございます。
この「クロラウォールナット」になると
木目にも随分と複雑さが現れ、
普通の「ウォールナット」と比較すると高額な樹種になっていきます。
こんな雰囲気です。
あとはとローズウッド系になります。
このローズウッド系になると
the「本物!!」感が漂い出します。
水に浮かないような比重で
ピアノの黒鍵や
弦楽器の指板やブリッジなんかに使われる材でもあります。
つまり、激しくテンションがかかっても大丈夫!!
数百年使っても大丈夫!!
っという素材ですね。
ですが イナバ物置さんのように
「100人乗っても大丈夫!!」とはいきませんから。
例をあげると
「黒檀(コクタン)」、「縞黒檀(シマコクタン)」、
「ホンジュラスローズ」「アマゾンローズ」等々、
その産地により「〇〇ローズ」といいう名前で呼ばれる樹種たちです。
既にワシントン条約により輸出入の規制がかかっていて
結構気合いの入る金額です。
でもでも、その品質を考えると
まだまだ「コスパが良い樹種だ!」と思っています。
例えば縞黒檀材の素材の状態はこんな感じです。
これをオイル仕上げにした場合はこんな感じ。
縞黒檀(シマコクタン) オイル仕上げ 高級時計ケースの受注製作。「5本用」「3本用」
画像ではわかりづらいんですが
ローズウッド特有の控え目な木肌の美しさが堪能いただけます。
そして鏡面仕上げにした場合はこんな感じ。
縞黒檀材5本用 鏡面仕上げ 時計ケース
縞黒檀(シマコクタン) 高級時計ケースの受注製作。「5本用」「3本用」
あの有名時計メーカーさんの!!
と思った方も多いと思いますが
あれは無垢材ではなく、◉◉です。
ご予算とのバランス
I 様も、
「このローズウッドクラスを代々使ってたら素敵ですね。」
とおっしゃっていますが
とは言ってもご予算との兼ね合いも大切です。
すごく高額な時計ケースを買って
生活が大変になっても悲しくなりますし、
かといって、
結構妥協しすぎて不本意なものを買っても
気持ちが良くないのも困ります。
ずっと近くにあるものですから。
なんでもバランスが大切です。
I 様のご希望はオイル仕上げ。
でもウオールナットだと、、、ちょっと普通かも……。
とは言ってもローズ系だと、、、.本物すぎるし……高いし…..。
と悩まれていたとこと
ショーケースには
鏡面仕上げで完成した3つの個体が…..
このうち2つは、よくこのブログにも度々登場する黒柿材で
もう1つは、トチ材なんですが、スポルテッドと呼ばれる
不思議な木目が入った個体です。
これもかなり珍しい時計ケースです。
この3点は
レギュラーサイズの5本用サイズケースを製作した際に発生した
「端材(ハザイ)」で製作したものです。
端材を目一杯使って製作した個体ですので
3点とも「高さ」「奥行」「長さ」が異なります。
そのため
レギュラーな製作!と比較すると、
黒柿なのに???
っと、
かなり「お手頃」な価格設定になっている時計ケースです。
ご来店のタイミングによって
有ったり無かったりですが
この手の個体と出会った時は「一期一会」です。
I 様も、当初の予定とは異なりますが
特に黒柿材には大いに魅力を感じられているご様子です。
先にレザーとの組み合わせ
3点とも、それぞれの個性があって
悩ましい!!って感じです。
I 様はその中の黒柿が気になられたようです。
そこで順番は逆になってしまいますが
まずは時計とレザーの組み合わせのバランスからチェックしてみます。
実は I 様、色々お話しをお聞きしていると
ビンテージのアイリッシュリネンやレザーにかなり造詣が深いお客様です。
時計もアンティークのクレドールですね!!
産地はもちろん飼育系か放牧系、発色や毛並みを丹念に比較されて
まずはレザーをボルドーの K219 に決定です。
今度はそのボルドーと2つの黒柿材の時計ケースを比較して、、、
側板に複雑さが現れた個体に決定です!!
ありがとうございま〜す。
こういった黒柿材は
特殊な形状の時計ケースのオーダーも多く
常に「Sサイズ」をご用意しています。
伸ばして1本収納!!
をご検討のお客様は是非ご覧になってみてください。
そしてレギュラーサイズの黒柿材も
多種多様ご用意しています。
クレドールと黒柿
初めて購入した時計が
『アンティークのクレドール』とのお話。
この黒柿材は鏡面仕上げですので
当初予定されていたオイル仕上げとは異なり
経年変化はほぼありません。
でもこの一期一会の出会いは
アンティークのクレドールとピッタリだとお選びいただきました。
時計の品の良さが際立つ組み合わせです!!
納品までしばらくお時間をいただきますが
しっかり仕上げさせていただきま〜す。
I 様、ご注文誠にありがとうごました!!
追伸
こういった横長1本用の時計ケースですが
内装をフリースペースで仕上げることも可能ですし
ベルトを留めるためのループをつけることも可能ですのでご相談ください。
*画像はマサズパスタイム 篠原那由他 氏 モデル用の個体です。