時計好きなら誰でも一度は経験するあの高揚感!
憧れの時計を手にする瞬間って、本当に特別ですよね。
そんな大切な時計をさらに輝かせてくれる、
お気に入りの時計ケース探しは、まるで我が子にぴったりの服を選ぶようなもの。
今回、千葉からいらっしゃったY様も、
念願のパテックを入手され、時計ケース選びでソウルバードへ!!
さてさて、どんなケースと出会うんでしょうか?
特注時計ケースの専用工房
東京都内の喧騒を抜け、池袋の隠れ家的な工房を訪れたお客様。
ソウルバードは決して隠れているつもりはありませんが、
まるで隠れているかのようにマンションの地下1Fにあります。
初めてご来店のお客様はおおむね
「こんなところに??」と感じられるかと思います。
そんなソウルバードですが、一旦扉を開けると
塗装工程まで終了した数々の時計ケースや制作前の木材が整然と並び、
ご来店のお客様をお出迎えします。
ここは内装仕上げ用の工房として借りていますが、
ご来店されるメーカー様、また目利きの個人のお客様のご来店も大変多く、
工房の中にショーケースを設置して皆様にご案内しています。
時計ケース製作のステップ
今回ご来店のY様。
パテックのカラトラバを初めて購入されたとのことで
この時計1本だけを入れる専用の時計ケース製作をご希望されています。
行きつくところはカラトラバ!!とおっしゃるお客様も多く
ドレスウオッチでありながら、ベルトのアレンジで様々なシーンに対応できる
まさに通好みのパテックさんのフラグシップモデルですね。
身につける美術品だといっても過言ではないでしょう。


(お客様からご提供いただいた画像・動画を使わせていただきました)
いいですね〜、いいですね〜。
一旦ハマると、抜け出せなる世界観!!
わかります、わかります、実にわかります。
さて、ご希望の時計ケースですが
おおまかなご希望をお聞きしたところ
いくつかのパターンが考えられますので早速ご案内させていただきました。
今回のポイントは次の通りです。
1:コストの配分と素材の選定
これはどういう事かというと、ご予算の中でコストをどこにかけるか、という点です。
木材、つまり樹種(素材)にコストをかけるか、樹種のコストをおとして
塗装の工程の複雑さ等(加工費)にコストをかけるか、という事です。
今回、Y様の諸条件をクリアできるのは
「メイプル材に特別な着色をした時計ケース」
or
「ブラックウォールナットの時計ケース」
のどちらからの選択になると思います。
どちらもアメリカ産の樹種で、
木材価格の極端なアップダウンも少なく
比較的、安定した価格で時計ケースを仕上げる事ができます。
と思っていたところ、4年前の木材の仕入れ値価格と
現在の仕入れ値価格では約2倍の価格差が生まれてます。
頭が痛いところです。
「メイプル材に特別な着色をした時計ケース」の場合、
オプションにはなりますが、ブラックやグリーンな等の数種類の色合いから
ご希望にあった塗装の選択もお選びいただけます。
仕上げは全て鏡面加工仕上げです。
>デープシーのカラーが…..
>ロレックスのイメージカラーが…..
といったご希望のお客様にはピッタリな選択です。

※ カラー板
完全に塗りつぶしてしまうと、チープな雰囲気になりますので
木目が絶妙に残る程度のギリギリの塗装で仕上げます。
これは、かなり好評なようで、
皆様ご存知の高級時計メーカー様からも毎年ご依頼をいただいています。
感謝感謝です。
また「ブラックウォールナットの時計ケース」の場合は
鏡面加工仕上げではなく、オイル仕上げの一択です。

よく「ブラックウォールナット材は鏡面仕上げにできませんか?」
というお問い合わせをいただきます。
物理的には「可能」ですが
基本的にはパスしたほうが良いと思っています。
鏡面加工仕上げにすると、せっかくの銘木材が
何故か「フェイク」っぽい感じになってしまいます。
そもそも、多くのお客様は
「ブラックウォールナット材の鏡面仕上げ」は
ご覧になった経験がないと思います。
つまり、遠い昔から
「ブラックウォールナット材はオイル仕上げ」
が定番になっていて
「鏡面仕上げ」はイメージがないのではないかと想像できます。
ここは王道の「オイル仕上げ」をお勧めします。
2:形状とデザインの調整
時計ケースのサイズは収納される時計のサイズに合わせてカスタマイズします。
革ベルトを伸ばした状態で⚫️.⚫️cm、
時計本体とリューズを含めたサイズが⚫️.⚫️cm。
このサイズから、内装に使うレザーの厚みを元に
時計ケースの最終的な内寸・外寸サイズを決定します。
もちろんお客様のご要望によって、そのサイズもアレンジが可能です。
次に内装の仕上げです。
「フリースペース」の状態に時計を収納するか、
もしくはベルトを通す「ループ」をつけるかの選択も自由です。
フリースペースだとこんな感じです。
(時計を置くスペースにはクッション性がございます)

かなりレアな時計ですが
Patek「5100P-001」を収納すると…

300本限定の10 DAYS ミレニアムですね!!
*放牧のフランスラム表革K650で仕上げています
ループ付きだとこんな感じでベルトを通して収納するスタイルになります。
ソウルバードですがこのループが後々 劣化しないように
ゴムは使用せず内装と同じレザーで1本づつ手作業で仕上げを行います。

時計ケースと蝶番(チョウツガイ)の深〜いお話
持ち運びはされない予定のY様。
取り出しのスムースさを優先し、
内装の仕様は「フリースペース」を選択されました。
次は素材となる樹種です。
「メイプル材」と「ブラックウォールナット材」、
どちらにも魅力を感じられたY様。
この選択には迷いに迷って
オイル塗布しながらの経年変化も楽しみの一つ!として
「ブラックウォールナット材」をお選びになりました。
そして内装のレザーは地中海放牧ラムの「ボルドーK219」。
間違いない選択ですね。

※ボルドーK219で仕上げた時計トレーを参考までに
このレザーはまるでシルクのような美しい発色がすばらしく
かなりの人気レザーです。
ありがとうございま〜す!!
さてここで蝶番(チョウツガイ)についてのご質問が…
蓋を開けた時に
「バネで蓋が止まるようになっていますか?」
実はこのご質問、結構いただきます。
指輪やネックレス、またメガネなんかを買うと
納品の際に入ってるケースがあるじゃないですか。
メガネ屋さんでも、
「どのケースがいいですか?」
なんて選ばせてくれたりする例のやつです。
そうそう、蓋を開くとバネみたいな感じで
蓋をバシッと固定するやつです。
あれは蝶番に板バネがついた「バネ蝶番」と呼ばれるものですが
時間の問題で板バネが折れたり緩くなったりして壊れてしまう運命にあります。
しかし、修理ができませんので破棄するしかありません。
つまり高級品には使われない、という事です。
ソウルバードの時計ケースでも
この「バネ蝶番」は使っていません。
ソウルバード以外でも
耐久性が必要な高級な「トランク」などを製作しているメーカーさんでは
バネ蝶番を使っているところは皆無だと思います。
修理しながら、永らく使えるように設計された
ヴィトンさんのトランクなんかもその代表例だと思います。
こういった配慮は、量産品では得られない
高級品ならではの魅力でもありますし
実は分かりやすい真贋のヒントにもなると思います。
特注時計ケースがもたらす喜び
Y様は、完成するケースに思いを馳せながら
次のようにお話しになりました。
「このケースが出来上がったら、家の特別な場所に飾って、
時計と一緒に過ごす時間をもっと楽しみたいです。
まるで新たな家族が増えるような気持ちです。」
特注時計ケースは、時計と同じように
オーナー様の個性やこだわりを反映した作品でもあります。
初めてのパテックを購入された記念として
特注時計ケースを作るという
『特別な体験』
は、Y様にとって忘れられない思い出となるでしょう。
責任重大です!!
皆様も、お気に入りの時計にふさわしい
世界に1つだけの時計ケースを体験してみてはいかがでしょうか。
全力でご相談を承ります。
それでは、また完成したらUPしますね!!
Y様、わざわざご来店誠にありがとうございました。
また画像のご提供も大変助かりました!!
追伸
他のブログでもご案内しましたが、
この収納方法だと2本収納も可能です。
ご検討されてるお客様は参考にしてみてくださいね。

